大阪・関西万博悲喜こもごも

迷子になったのは…おっちゃん?

 大阪万博の会場、迷子センターには毎日のように子どもが連れて来られる。
ある日、係員がマイクで「迷子のお子さん、○○ちゃんのお父さーん!」と呼びかけていたら、なぜか白髪のおっちゃんが元気よく手を挙げて走ってきた。
周囲は「いや逆やろ!」と総ツッコミ。
聞けば、このおっちゃん、最新AIロボットの展示を見に行くはずが、気づいたらフードコートに吸い込まれて、ソースの匂いにやられて完全に迷子。
しかも「財布どこやったっけ」と言い出す始末。
結局、係員が子どもよりしっかり手を引いて出口まで案内。
万博最大の教訓は「未来を語る前に、自分の足元に気をつけよう」だったというオチ。

 

パビリオン待ち時間の“友情物語”

 人気パビリオンの待ち時間は3時間。
前に並んだ人と「長いですねぇ」と世間話が始まり、気づけば水分を分け合い、スマホの充電器を貸し借りし、子どもの写真まで見せ合う仲に。
いざ入場のとき「さぁ未来のテクノロジーを見よう!」と胸を膨らませた二人。
ところが中は真っ暗な映像空間、プロジェクションマッピングが光っているだけで、正直「外の会話の方が楽しかったな」と苦笑い。
出てきた瞬間、二人は「またどっかで並びましょう!」と握手して別れた。未来を描く万博、実は一番の成果は“人間関係の発明”だったという笑い話。

 

閉幕間際のみやげやパニック

 閉幕が近づき、公式グッズショップは大混雑。
皆が「最後に記念を!」と走り回る。
あるおばちゃんは「孫に買うんや!」と万博キャラのぬいぐるみを10個抱え、後ろの若者は「転売やろ!」とツッコミ。

店員は「1人2個までです!」と叫ぶが誰も聞かず、棚は空っぽ。
そこへ係員が補充しに来た瞬間、「キャー!」と人の波が押し寄せ、ぬいぐるみは一瞬で消えた。

残されたのは、誰も欲しがらない「公式ペン立て」。
静かに山積みになっているそれを、おっちゃんが一つ手に取り「…これも思い出や」と笑ったとき、会場全体が「せやな」と頷いた。
笑いと涙の土産戦争であった。

2025年10月2日   弁護士 川原俊明