話し合いで離婚できない場合、離婚調停をしたほうがいいの? 離婚調停は時間がかかる?
離婚弁護士 喜多真秀
はじめに
「夫婦喧嘩は犬も食わない。」というのは古くから言われ続けてきた言葉です。この意味は、「夫婦の喧嘩は、だいたい些細なことが原因で起こり、すぐに仲直りするものであるから、仲裁などせずに放っておくことが肝要である。」と言われています。
しかし、夫婦喧嘩がすぐに仲直りできる程度のものを超え、仲裁しないと婚姻関係を修復できない程度にいたることもあります。このような程度に至ってしまった方は、少なからずいらっしゃるでしょう。このような場合、どうすればいいのでしょうか?
すぐに思い浮かぶのは、悪いことをした方が、他方に謝って許してもらうとか、夫婦でよく話し合って今後のルールを決めること等です。愛し合って結婚した夫婦ですから、多少の喧嘩や諍い(いさかい)があっても、互いに協力して乗り越える場合もあるでしょう。しかし、悪化した夫婦関係を改善できないことがあります。この場合、婚姻関係を解消すること、つまり離婚することになります。
協議離婚と調停離婚
離婚する最も簡単な方法は、夫婦で離婚届に署名押印して、これを役所に提出することです。民法では、協議離婚の要件として、①夫婦双方の離婚意思と②離婚届の役所への提出を定めています。
しかし、話し合いが夫婦間でまとまらず、協議離婚ができない場合があります。夫婦の一方に離婚意思がなく、離婚届に署名押印しないと主張した場合が典型です。さらに、夫婦の双方に離婚意思があっても、財産分与の話し合いがまとまらない、子の親権者をいずれにするかにつき意見が食い違う、養育費をいくらにするかにつき意見が食い違う、離婚後の面会交流についての取決めがまとまらない等の理由で、夫婦の双方又は一方が離婚届に署名押印しないといったこともあります。これらの場合、どのようにすれば離婚できるのでしょうか?
法律は、協議離婚ができない場合に、離婚する方法として、調停を申し立てることを求めています。一般的には「離婚調停」と呼ばれています。
話し合いで離婚できない場合、離婚調停をしたほうがいいの?
協議離婚ができないとわかれば、「ただちに離婚調停を申し立てた方が良い」です。
では、離婚調停はどのようにして申し立てればよいのでしょうか?
また離婚調停を申し立てる際、弁護士に依頼した方がいいのでしょうか?
私は、相談者様から離婚調停を申し立てるにあたり弁護士に依頼した方がよいかと質問された場合、弁護士に依頼した方がよいと回答しております。なぜなら、離婚調停での協議には、法的知識や経験が必要で、弁護士を代理人とせず自身で対応すると、不当に不利な調停条項案に合意してしまう可能性があります。さらに、調停で解決可能であるにもかかわらず、合意せず調停不成立にしてしまい、離婚訴訟に発展する可能性もあります。訴訟までいくと、解決まで2年以上かかることもあります。また、財産分与の審理に欠かせない財産目録の作成やその添付資料をどのように収集するか、養育費算定のための基礎資料はなにか、先方からの養育費に関する主張にどのように反論すればよいか等は弁護士と相談しながら主張内容をまとめないと説得力ある主張ができません。
離婚調停は時間がかかる?
離婚調停は時間がかかります。
財産分与、養育費、親権者の決定、面会交流などについて、当事者の意向に相違があればあるほど、離婚調停による解決には時間がかかります。ただ、確実に言えることは、弁護士に依頼した方が、依頼しない場合に比べて時間の短縮が可能であるということです。離婚調停について、弁護士に依頼せず、当事者のみで手続を進めた結果、手続が進行しないとか期日が空転するといったことはしばしば目にします(弁護士に依頼せずに個人で調停手続に臨んでいたが、自身で対応できなくなって、弁護士に相談するといった事例でこのようなケースに出会うことが多いです。)。そもそも離婚調停での解決には時間がかかりますが、この時間を短縮するために、離婚調停の申立て当初から弁護士に依頼することが肝要です。
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