相続対策・準備のアドバイス

当事務所では、相続の場面において、単に遺産分割協議を行うことにとどまりません。早期解決には、法的な協議内容の提案のみならず、登記・税務など、最終解決まで図る必要があります。
当事務所では、弁護士・司法書士・行政書士・提携税理士など、幅広いスタッフで総合的に対応して適切な解決をめざしています。

相続においては、以下のような対策や準備をすることをおすすめいたします。

【遺言書の作成】

遺言書を適切に作成することで、相続人間の争いを防ぎ、遺言者の希望どおりの分配を実現します。
公正証書遺言を活用することで、遺言作成そのものの真偽にかかる争いを軽減し、遺言内容の実現にむけて法的な効力をより確実にします。

【生前贈与】

相続税の軽減策として、生前贈与を活用します。暦年贈与や特定の資産を生前に譲渡することで、相続税の負担を減らすことが可能です。
近時の法改正で、2500万円まで贈与税が非課税とされる相続時精算制度について、暦年贈与などに利用されている基礎控除110万円も令和6年から、並行して活用できることになりました。

【家族信託の利用】

家族信託を使って、資産の管理・運用を信頼できる人に任せることで、認知症などのリスクに備えることができます。これは、資産が適切に管理され、意図した形で相続されることを保証します。
委託者が判断能力を軽減された場合にも、受託者が処理することができ、成年後見以上のメリットがあります。

【生命保険の活用】

生命保険を使って、相続税の納税資金や、特定の相続人に確実に資産を残す手段として利用することができます。非課税枠をうまく活用することで、税負担の軽減が期待できます。

【資産の評価減】

不動産などの資産について、評価を見直し、相続税の課税対象となる金額を減らす手法です。
土地の利用状況を変更することで評価額を下げるなどの対策が考えられます。
特に資産価値の大きい不動産について、掘り下げて検討します。

【不動産の相続対策】

① 小規模宅地等の特例を活用する

内容: 居住用や事業用の土地を相続する際、一定の条件を満たせば、相続税の評価額を大幅に減額できる特例です。
効果: 最大で80%の評価減が可能であり、相続税負担を大幅に軽減できます。特に、家族が住み続ける場合や事業を継続する場合に有効です。

② 不動産の賃貸化

内容: 相続する不動産を賃貸物件として運用することで、賃料収入を得る方法です。賃貸物件にすることで、土地の評価額を下げることもできます。
効果: 相続税評価額が「貸家建付地」として減額されるため、相続税負担が軽減される一方、安定的な収入を得ることができます。  ただし、運用には管理の手間やリスクも伴います。

③ 土地の利用目的の変更

内容: 更地のままではなく、駐車場や賃貸住宅、商業施設に転用するなどして土地の利用目的を変更する方法です。
効果: 商業的な用途にすることで収益性を高めたり、土地の評価額を下げたりすることで相続税を減らすことができます。また、利用価値を高めることで、相続後の資産運用にもつながります。

④ 土地の共有化

内容: 一つの土地を複数の相続人で共有することで、各相続人が取得する割合に応じた評価額を算出する方法です。
効果: 相続税の評価額を分割し、個々の相続人の税負担を減らす効果がありますが、共有者間での意見の不一致などの管理上の問題も生じやすいです。

⑤ 土地の一部売却や交換

内容: 相続前に土地の一部を売却し、相続税の納税資金を準備するか、他の不動産と交換して評価額の低い物件を取得する方法です。
効果: 売却資金を用いて相続税の納税に充てることができるため、相続後の資金繰りをスムーズに行えます。また、土地の交換によって評価額をコントロールし、相続税負担を軽減することも可能です。これらの対策を組み合わせ、クライアントの状況や目的に応じて最適な方法を選択することが、効果的な不動産の相続対策になります。また、これらの施策を早期に検討し実施することで、相続時の混乱を防ぎ、相続人間のトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

⑥ 土地の分筆・合筆

内容: 土地を分筆(分割)して相続人ごとに適切に分けるか、逆に隣接する土地を合筆(統合)して一つの土地として相続する方法です。
効果: 分筆することで、各相続人が自分の希望に応じた部分を相続でき、トラブルを避けることができます。また、評価額を調整しやすくなるため、相続税の最適化に役立ちます。合筆の場合、土地の価値を高め、将来的な開発を見据えた運用が可能になります。

⑦ 法人化の検討

内容: 不動産を個人で所有するのではなく、法人を設立して法人名義で所有する方法です。不動産管理会社を設立し、そこに不動産を移管することで、法人税や役員報酬などの税制メリットを享受できます。
効果: 法人化することで相続税を回避できる場合がありますが、法人税や登記の費用など新たなコストが発生する点に注意が必要です。また、経営に関する法律や税制に詳しいアドバイザーの支援が重要になります。

⑧ 農地の相続対策

内容: 農地は特有の法律や税制が適用されるため、特例や措置を活用することが重要です。農地法による許可が必要な場合や、農業委員会の指導を受けながら進めることが求められます。
効果: 特定の条件を満たすことで、農地については相続税の納税猶予が受けられる場合があります。これにより、相続直後に多額の納税を避けることができ、農地の継承が円滑に進みます。

⑨ 生産緑地の活用

内容: 都市部の農地で、生産緑地に指定されている土地は、固定資産税が減免されるメリットがあります。生産緑地として利用し続けることで、長期的に税負担を軽減できます。
効果: 生産緑地の指定を受けることで、相続時の評価額を抑えることが可能です。また、将来的に宅地化する際には、開発利益を見込める可能性があります。

【遺産分割協議の準備】

相続発生後に、相続人全員が集まって遺産分割協議を行う際、事前に相談を重ね、スムーズな合意形成を目指します。
遺産分割協議が円滑に進むことで、相続人間のトラブルを回避し、納税や登記手続きを迅速に進めることができます。これには、信頼できる弁護士や税理士のサポートが重要です。これらの施策を組み合わせ、依頼者の方のニーズや状況に最も適した相続対策を立案・実行することが、不動産相続において非常に重要です。また、相続が発生する前に早期に対策を始めることで、効果的かつ円滑な資産移転を実現し、相続人にとっての負担を軽減することが可能です。

【相続税申告の準備】

相続発生後、スムーズに申告ができるよう、相続税の見積もりや必要書類の準備を行います。これにより、申告期限を守り、余計な税負担を回避できます。これらの対策を総合的に検討し、依頼者の方の状況に合わせて最適なプランを提案することが、相続対策において重要です。また、早めの相談を促すことも大切です。当事務所では、法的観点のみならず税務・登記の対応もあわせて対応させ